再生医療の肌への効果とは|肌トラブルに別れを告げる次世代スキンケア
投稿日:2024.03.04/更新日:2024.11.18
肌のシワやたるみ、シミなどを改善するためにはさまざまな施術法がありますが、その中でも近年注目されているのが「再生医療」です。
初めて耳にしたという方も多いと思います。
今回はそのような方のために、再生医療とは何か、どういった効果が得られるのか、懸念点やデメリット、気になる費用の問題などもあわせて解説します。
Contents
再生医療とは
再生医療とは、ヒトから取り出した細胞や組織を活用し、機能不全に陥った臓器や組織の機能を取り戻す治療法のことです。
取り出す細胞や組織は、血液・脂肪組織などが多く、この中から幹細胞を抽出し培養した後、再び体内に注入するといった方法が代表的です。
機能不全に陥った臓器や体の組織を取り戻すには、薬物療法や外科手術などさまざまな方法があります。
しかし、副作用のリスクがあったり、手術後は長期間にわたるリハビリが必要になるなどの問題もあります。
再生医療の場合は、患者様本人から取り出した細胞や組織を活用するため、副作用の危険は低いです。
さらに体にメスを入れる必要がないため、長期間の入院やリハビリも不要といったメリットがあります。
このような理由から、再生医療は患者様の負担を軽減する、次世代の医療として注目が高まっています。
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幹細胞とは
再生医療に用いられることの多い幹細胞とは、どのようなものなのでしょうか。
そもそも、私たちの体内では古い細胞から新しい細胞へつねに入れ替わっています。
たとえば、ケガによって皮膚に傷を負ったとき、時間の経過とともに自然治癒するのも細胞が新陳代謝を行っている証といえます。
しかし、新しい細胞を作り続けるためには、その能力をもった細胞も必要であり、このような細胞を「幹細胞」とよびます。
なお、一口に幹細胞といっても「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられ、以下のような違いがあります。
- 組織幹細胞:特定の組織や臓器の細胞のみを作る幹細胞
- 多能性幹細胞:さまざまな組織や臓器の細胞を作れる幹細胞
肌の治療における再生医療
次世代の医療ともいえる再生医療は、内科や外科などさまざまな診療科で導入され始めています。
肌の治療もそのひとつであり、主に皮膚科や美容医療において選択されることも少なくありません。
肌の再生医療では、いわゆる肌細胞とよばれる「真皮繊維芽細胞」を移植することで、老化を抑制し肌本来の機能や美しさを取り戻すことができます。
老化によって肌のハリが失われるのは、コラーゲンやエラスチンといったタンパク質が減少し、水分量を保持できなくなるためです。
そこで、これらを含む美容成分を注射によって補給したり、レーザーや超音波などを照射し、体内での生成を促進するといった施術法があります。
肌の再生医療は、より高い効果が見込める最新の治療法として注目されています。
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再生医療のデメリットと懸念点
再生医療はメリットばかりではなく、デメリットも存在します。
治療を選択する前に押さえておきたい懸念点をご紹介しましょう。
効果に個人差がある
再生医療は、患者様の体質や症状などによって効果が異なり、同じ治療を受けた患者様でも満足度が変わってくることがあります。
そのため、治療前の段階で「確実に良くなる」とは断言できず、医師と十分な相談が不可欠です。
継続的な治療が必要
再生医療は一度の施術だけで十分な効果が見込めるとは限らず、継続的な治療が必要となる場合があります。
治療の回数が増えるほど通院や追加の費用が伴うことから、再生医療を開始する際には経済的な負担や時間の制約を考慮する必要があります。
注射による炎症が数日間続く
幹細胞や組織を体内に注射した際、一時的な炎症や腫れを引き起こすことがあります。
これは通常、数日程度で収まりますが、仕事へ影響が出ることも考えられます。
そのため、再生医療を受ける際には、仕事やプライベートへの影響やスケジュールも考慮しなければなりません。
しこりなどが残る場合がある
治療した部位には、しこりや硬さが残ることがあります。
触ったときに不自然な感触を与え、患者様によっては不満を抱いたり、不安を引き起こす可能性もあるでしょう。
このようなリスクも考慮し、再生医療を受ける際には医師から丁寧な説明を受け、理解しておくことが大切です。
感染症が起こる場合がある
多くのクリニックでは、衛生面に十分な配慮を行ったうえで治療を行っており、感染症のリスクは極めて低いといえるでしょう。
しかし、決してリスクがゼロというわけではなく、注射部位から細菌やウイルスが侵入し稀に感染症を引き起こすこともあります。
リスクの低い自家組織は高価
再生医療は、外的環境や加齢などから損傷したり、減少してしまった細胞を元気にして修復するという治療になります。
そのため、自身から採取した肌細胞や血液などの方が感染やアレルギー反応もなく、安全性や定着率が高いです。
しかし、採取から移植にかかるコストや手間がかかるため、高額な費用になります。
今話題のエクソソームなどのヒト幹細胞培養上清液などは、他人由来の製剤のため、自身の細胞から移植するよりも費用は安くなります。
献血を断られることがある
日本赤十字社では、「輸血(自己血輸血を除く)歴・臓器移植歴のある方」を、献血を遠慮していただくケースのひとつとして設定しています。
その理由は、現在の検査で検出が不可能なウイルスに感染している可能性が、完全には否定できないためです。
そのため、エクソソームなどの他人由来の幹細胞培養上清液の治療を受けられた方は、それ以降の献血ができなくなります。
再生医療の種類と費用
美容クリニックで受けられる肌の再生医療には、どういったものがあるのでしょうか。代表的な3つの治療法をご紹介します。
幹細胞培養上清液
肌の若返りや薄毛・不眠症などを改善する治療です。
他人由来の幹細胞培養上清液であるステムサップ(StemSup®)を導入して、成長因子によって肌細胞の修復や再生促進、血管新生をはたらきかけます。
また、幹細胞培養上清液からさらにエクソソーム濃度を高めたエクソソーム製剤は、細胞間で増殖や機能回復、新生を促す情報を伝えるはたらきがあります。
肌トラブル全般、全身の若返り、薄毛、疲労、不眠症、ED などの多岐にわたる細胞の若返り効果が期待できます。
【費用】
ポテンツァ-エクソソーム RFニードル(顔全体)+ドラッグデリバリー(顔全体)
1回 99,000円
ダーマペン4-ステムサップ
1回 55,000円
美容点滴-ステムサップ
1回 77,000円
水光ショット-エクソソーム
1回 82,500円
PRP(多血小板血漿)自己再生プレミアム
PRP(多血小板血漿)自己再生プレミアムは、ヒトの血液に含まれるPRP(多血小板血漿)とよばれる成分を注入する再生医療です。
PRPには成長因子を作り出す働きがあるため、肌そのものを再生し表面の凹凸やシワ、たるみなどの改善効果が期待できます。
【費用】
1ml:97,900円
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
NMNは、加齢とともに減少してしまうNAD+の生成に関与します。
NAD+は、細胞のエネルギー産生やDNA修復に重要な役割を果たします。
NMNによって皮膚細胞の活性化と修復を促進し、コラーゲン生成を刺激することで、肌質の改善、シワの軽減、肌の弾力性向上が期待されます。
【費用】
NMN点滴(150mg)
初回 44,000円
関連記事:幹細胞治療とは?点滴と注射の違いや美容効果についてご紹介!
再生医療は保険適用になる?
再生医療を受ける際に大きな懸念材料となるのが、治療費の問題ではないでしょうか。
日本では世界に先駆けて再生医療が推進されていますが、2023年時点で厚生労働省からの承認を得て健康保険の対象となっている再生医療の製品は19種類のみです。
また、上位で紹介したような美容を目的とした再生医療は基本的に自由診療となり、保険は適用されません。
たとえば、ポテンツァとエクソソームを組み合わせた場合、1回あたりの施術にかかる費用は約10万円となり、全額自己負担で支払わなくてはなりません。
比較的安価なダーマペン4とエクソソームの組み合わせでも、1回あたり5万円以上の費用が発生します。
そのため、再生医療を受ける際には期待される効果や持続期間、施術にかかる費用もしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
美容医療の分野による再生医療では、ヒアルロン酸などの製剤によって、お顔のシワやボリュームを補填するのではなく、自身の細胞を元気にして肌細胞を回復したり、増やしたりします。
それは、次世代の若返り治療として注目が高まっています。
ただし、ヒアルロン酸などと違って、即時的な効果を得られるものではなく、継続した治療の中で穏やかに効果を実感していくものです。
お肌のメンテナンスとして、他の治療と併用していくことをおすすめいたします。
満足度の高い仕上がりを実現するためにも、再生医療の知見が豊富な美容クリニックを選びましょう。